机の下を過信しない

47年前、私は仙台市の職場の2階で宮城県沖地震を経験しました。

 

最初に「ビーン」という大きな音がしました。

窓ガラスが振動する音だと知ったのはしばらくたってからです。

 

そして、かつて経験したことのない大きな揺れが襲ってきました。

ゆっさゆっさという横揺れが激しく、「床が抜けるかもしれない」「天井が落ちるかもしれない」と思いました。

 

そこで、学校で教わったことを思い出して、写真のように机の下に潜り込んだのです。

 

しかし、鉄製の机が上下左右に激しく動き、引き出しが頭を強く打ち付けます。

また、机が1メートルほど遠くに行ったと思ったら、今度は逆に自分に向かって飛んできます。

鉄製の机は重いので、当たるととても痛いです。

 

そして、「このままではけがをする」と感じ、机の下から抜け出ました。

 

それからは、無防備のまま、天井が落ちてくることを考え、壁が倒れることを考え、その兆しが見えたらどこに逃げようかと考えながら揺れが収まるのを待ちました。

とても長い時間でした。

 

また、その間、窓の外に職員が走っている姿が目に入りました。

しかし、何人かバタバタと倒れています。

「何やってんだろ?」

と不思議に思いました。

 

後で聞いてみたら、いわゆる「空足を踏む」状態になって転んだのだそうです。

地面が波打っていたために、つまづいてうまく走れなかったということです。

地面が水面の波のようになるということも、この時初めて知りました。

 

そして、更に遠くを見ると、職場を囲んでいた塀が倒れ、土煙が上がるところが見えました。

信じられませんでした。

 

「これは尋常ではない!」

「俺はここで死ぬのかもしれない」

そう思いました。

 

・・・結局私は生き残り、その後は職場にそのまま泊まり、塀の代わりに夜中に立って、ゴソゴソという物音に怯えたりしました。

その音のことを上司に報告したら、犯人は放し飼いにしているウサギだと分かり、私は臆病者だと思われる羽目になりました。

 

ともあれ、そんな経験をした私は、以来、机の下は必ずしも安全ではないと思っています。

写真のような軽そうなものなら大丈夫でしょうが、重い机は要注意です。