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竹炭の作り方

竹炭の作り方を教えてほしい!という方からのリクエストにお応えすることになりまして、せっせと写真を撮ることにしました。今回は竹を切って、割って、節を取るところまでです。
 いずれこれらの画像とコメントをまとめて「北限の竹炭の作り方」という冊子にして、リクエストしてきた方にお届けすることになります。したがって、SNSでこのように発信することは、いはばフライングになるのですが、その依頼主の了解を頂いてのことですから問題はありません。それに私は、こういう製炭法をオープンにしていく立場なので、特定の方だけにお知らせするというのを嫌います。竹林の管理に困っている人の助けになることが私の活動のコンセプトだからです😤エヘン とまあ、鼻息を荒くするほどのことではありませんが、完結するまでアップしていくつもりなので、興味のある方はご覧ください。
 ということで、まずは竹を用意します。太さ10センチ程度のもので、伐採してから1~3か月ほど置いたものがよいとされているようです。余りに太い竹や細い竹は、肉厚が厚すぎたり薄すぎたりしますし、切ってすぐの竹や、乾燥し過ぎた竹の場合は良い竹炭にならないとされているからです。

 

次に竹を輪切りにします。
長さは製炭炉のサイズに合わせます。
今回私は薪ストーブを使った小さな窯で作るので、長さは30センチほどです。

大事なことは、右側にあるような汚れた部分は除くことです。

ほかの方はどうしているか分かりませんが、私はこのように汚れた竹を炭にすることはありません。
浄水や炊飯にも使う竹炭なので、自分の口に入ることを考えたら、このような竹は嫌だからです。

また、私は「日本の清潔な竹炭」と標榜していますので、
そういう意味でもこのような汚い竹は使えません。

 

次の工程は適当な大きさに割ることです。
写真のような竹割り器を使うと一様の大きさに割れますので、便利です。

竹割器はいろんな使い方がありますが、このように短く輪切りをした竹の場合は、竹割器の上に竹を置いて木づちでたたく方法が簡単だと思います。

 

竹を割ったら、ナタを使って節の部分をカットします。
これで材料の準備はOKです。

 

 

竹割りを終えたら、窯に入れる際に便利なように、手で持てて、自立するくらいの大きさに麻ひもでたばねます。こうすると、窯の中に入れても倒れないので、竹をしっかり並べるときに好都合だからです。

次は製炭窯の説明です。

 

と言っても、今回は薪ストーブを使って竹炭を焼く方法なのでユニークなものです。

 

この薪ストーブを使った竹炭づくりでは、ストーブの上に寸胴鍋を乗せますので、写真のように上部が平らになったものでなければいけません。鉄製のものであれば、5千円前後で手に入るはずです。これにエントツを付ければOKで、月2~3回竹炭を作って2年ほどもちます。雨や雪を防ぐ屋根がないと劣化が激しいので注意しましょう。屋根がない所で焼くときは、終わった都度ストーブを屋内に片づけておくようにしましょう。

 

( 薪ストーブの下は水平に整え、ストーブの足はレンガなどの上に乗せて重さで地面に食い込まないように置きます。そしてエントツを取り付ければOKです。

 

 

私は写真のように煙突がぐらつかないように支えていますが、ぐらつかないようだったら無くても構いません。

( 次は、薪ストーブの上に置く寸胴鍋です。ストーブの天井部の穴のサイズを調整すれば、直径が30センチ~50センチ程度の寸胴鍋を置くことができます。そして、寸胴鍋の中に竹を入れてストーブの上に乗せて加熱すれば竹炭ができるということなのですが、少々工夫が要ります。

 

 本来、寸胴鍋の中に水が入っていない状態で加熱をすると、いわゆる空焚きになって寸胴鍋を傷めます。そして、数回の製炭でひび割れなどが起き、その隙間から空気が入り込んで竹が燃えてしまって失敗することになります。私も何度かそうやってダメにしてきましたが、次のようにすることでかなり改善しました。

 

 つまり、写真の寸胴鍋は大きな寸胴鍋の中に小さな寸胴鍋を入れ込んでいるのですが、その小さな寸胴鍋を入れる前に、大きな寸胴鍋の底に1~2センチ程度の厚みで砂を入れます。こうすることで、薪ストーブの炎が当たって加熱された熱がまんべんなく小さな寸胴鍋に伝わるほかに、空焚きによる寸胴鍋への負担が相当程度緩和されます。私はこのような入れ子状態の寸胴鍋を使うようになってからは1度もひび割れが起きていません(1年以上)。

 

 

 もっとも時間の問題だと思いますので、寸胴鍋も薪ストーブ同様消耗品とお考えください。消耗品として使う以上はできるだけ安く入手したいということで、私はヤフオクで落札する方法を使っています。中古品でも一向に構わないので、新品の半額以下で手に入れることができます。小さめで3千円、大きいサイズで5千円くらいが目安です。

大きな寸胴鍋の底に砂を敷いて小さい寸胴鍋を置くのは、単に寸胴鍋を空焚きによる損耗から守ることだけを目的にしているのではありません。このような入れ子状態にすることで、竹炭の品質を良くするのが二つ目の目的です。

 

 つまり、写真のように、二つの間にパーライトを敷き詰めて断熱・蓄熱効果を持たせるのです。鹿沼土でも試しましたが、パーライトの方が軽くて済みます。

 

 パーライトは土壌改良剤としてホームセンターなどでも買えますが、これによって外気と直接触れることを避けることで、竹が加熱されて出てくる水蒸気や煙が液化したもので竹炭が汚れることを相当程度防いでくれます。つまり、品質が良くなるのです。また、外気温から遮断されることで小さな寸胴鍋の温度が上がりやすくなり、短時間で竹炭ができるのにも貢献しているようです。

 

 一般に、土窯で作る竹炭の品質が良いとされているのですが、その理由の一つに、厚い土の層が持つ外気温との遮断と蓄熱効果があるのではないかと考えており、それに近い効果をこの方法で取り入れようとしているとも言えます。

 

 

 

(  続いて、写真のように、寸胴鍋を薪ストーブの上に乗せます。ストーブの天井部の開口サイズは寸胴鍋のサイズに合わせます。今回の寸胴鍋は直径45センチほどですから全面開口としています。フタをしたままだと炎が直接寸胴鍋に当たらないので加熱不十分となって製炭がうまくできないので注意してください。

 既に束ねた割り竹を寸胴鍋の中に入れます。自立しますので斜めになることがなく、入れやすいです。

入れるときは、両手でしっかり持って竹が抜け落ちることのないようにし、また、寸胴鍋を傷めないように底にそっと立てかけます。

 

このような束を3個ほど作って入れた後は、残った隙間に割り竹を詰め込んでいきます。

 

 

この際に大事なことは、竹同士がしっかり密着するようにすることだといわれています。すべての竹に一様に熱が加わり、炭化速度が一律になることで、一部の竹が生焼けになって残るなどのことがないようにするためだと思われます。ぎっちり詰め込みましょう。


 寸胴鍋の中に竹を入れたらフタをします。私は現在(20197月現在)写真のような厚さ5センチの耐火ボードを使っています。このほかにケイカル板(ケイ酸カルシウム板)も使えます。ホームセンターなどで購入でき安価なのですが、1回の製炭で弱くなってしまいその都度交換しなければならないほか、その度に適度の大きさにカットしたり煙抜き用の穴を開けたりする面倒さがあります。

 

 また、金属板を使ったこともありますが、高温になってくるとそってしまい、レンガくらいの重さでは平らになりません。そして、寸胴鍋との間に隙間ができて、そこから空気が入って竹のすべてが灰になったことがあります。そのときは1.5ミリ程度のステンレス板を使ったのですが、十分な厚さがあれば、あるいはこのような現象は起きないかもしれません。しかし、それでも竹炭の品質を悪化させるので金属板の仕様はお勧めしません。

 

 どういうことかと言いますと、金属の場合は、その内側(竹が入っている側)に煙が液化したものが付着し、それが落下して竹を汚すからです。その点、耐火ボードやケイカル板はそのようなことが比較的起きにくいようです。おそらく熱伝導率の違いによるものだと思います。 

 フタをしたら、竹が加熱されて出る煙が出てくる穴の上にダクトをセットします。これは、この後で行われる竹酢液採取用の煙突に煙を誘導するためのものです。ネットショップのカー用品販売コーナーで見つけた耐火性のものです。そして、これを耐火セメントで作った台に固定します。

 

 なお、この煙誘導ダクトはなくても構いません。実際、私は長い間このダクトを使わないで製炭し、竹酢液を採っていました。しかし、このダクトを使うようになってから、採れる竹酢液は約2倍に増加しましたので、有効な方法です。

 煙の誘導ダクトをセットしたら、フタに重しをします。フタが内部の寸胴鍋の縁としっかり密着しないと、隙間から空気が入り込んで竹炭にならずに燃えて灰になるからです。私は写真のようにレンガを使っていますが、適当な重さがあれば、石やコンクリート板などでもいいでしょう。

 その後は、竹から出てくる煙を通す煙突をダクトの近くまで寄せてセットします。これは竹酢液を採取するための煙突であり、ハスに(斜めに)カットしています。その煙突の中に煙がスムーズに入るようにセットするわけですが、ダクトと煙突が接触しないように注意する必要があります。

 

というのは、ここから入った煙は煙突の中で冷やされて液化(竹酢液)し、煙突の中を逆流して元に戻ってくるからです。その際、ポタポタと落ちるしずくを竹の樋(とい)で受け止めるのですが、ダクトと煙突が接触しているとしずくにならず、竹酢液がダクトをつたってフタの上に流れ落ちてしまいます。それでは困るので、ダクトと煙突は接触しないように注意しなければならないということです。

 

なお、竹酢液の採り方については別稿でまとめるので、ここではこれ以上踏み込みません。