遂にその時が来た。そのような思いが強かった横綱稀勢の里の引退でした。
最大の武器だった左胸の筋肉が断裂してしまい、いくら稽古を重ねても元の力は出せなくなりました。
さぞ悔しかっただろうと思いますが、稀勢の里は引退の記者会見で、「土俵人生において一片の悔いもありません」ときっぱり言い切りました。やれるだけのことはやり切ったということでしょう。そして、そのとおりだと誰もが納得したのではないでしょうか。
その記者会見で稀勢の里は、記者の質問に対して一つ一つ言葉を選びつつ、しっかりと正面から答えていました。何やら、横綱をやめてかえって横綱らしくなったようにすら見えました。いわば記者会見で横綱相撲を見た思いです。
引退後、日本相撲協会の八角理事長は、稀勢の里について「これだけ応援された横綱はいない」と表現しました。まさに言い得て妙。最大の賛辞かもしれません。
きっと稀勢の里は、ほかのどの横綱とも違う横綱として、これからも長く人の心に残り、語り継がれる横綱になるのだろうと思いました。
お疲れ様でした、横綱稀勢の里関。
平成31年1月20日
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