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科学は多数決じゃない

今年のノーベル生理学・医学賞を受賞した京都大学の本庶佑教授が、「科学は多数決じゃない」と発言したそうです。考えてみれば当然ですが、含蓄のある言葉のようにも思います。

何が本当で何が正しくないのか迷うことは多くあります。その中で科学は明白に答えを出すことができる手法の一つと言えるでしょう。実験などで事実を証明し、世界中の科学者がそれを検証する中で支持が広まり固定されていく。すばらしいことだと思います。

一方で、人間社会で起きることはそう簡単ではありません。AもBもCも、みんなもっともらしく思えることがあります。それでもどれかに決めなければいけないときに、例えば多数決という手段を用います。その結果、正解となることもありますが、結構な確率で外れてしまうこともあります。

このような人間社会のことも科学のようにズバリと正解を決められるようになってほしい。本庶教授の言葉を聞いた直後はそう思いましたが、時日が過ぎるにしたがって、そのような人間社会は少し寂しいような気もしてきました。なかなか人間は難しいようです。

 

平成30年10月24日