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日本よ世界の静かな中心に(河北新報に掲載)

三島由紀夫はその随筆で、日本は「世界の静かな中心であれ」と書いたそうです。戦後14年経った頃のことです。

最近この言葉を知った私は心が動きました。まだ戦後復興も成っていない時に、彼が日本人の特徴とその役割の真髄を看破して世に発信しているような気がしたからです。

世界では相変わらずきな臭い争いが続き、最近では経済大国2国間での貿易戦争も始まりました。そのような中で日本が果たし得る役割は何か。それは武力を増強して同じ土俵で闘おうとすることでも米中の一方に与することでもないように思うのです。

日本人は古来争いを好まず、異論・異説に耳を傾けて相手を理解し、和を大事にしてきました。やおよろず(八百万)の神を認め、一神教を信じる人々をも受け入れてきました。そのような国は珍しく、先進国の中では日本だけでしょう。

争いの当事者の頭には湯気が立っています。そんな国々に日本が日本らしく接すれば、湯気を静め、良い状態に世界を導けるかもしれません。そして、それでこそ日本は世界の静かな中心として尊敬を集めるような気がするのです。

 

平成30年9月28日